現在、私はフランスの法学部に留学しています。(以下、愚痴注意。)
法学部にいると新学期と試験前とで授業の中で必ず言われるのが、「きちんとしたフランス語を書いてください。スペル ( l’orthographe ) とシンタックス ( la syntaxe ) には充分注意して!」ということ。そんな先生の言葉を聞くたびに、フランス人学生に向かってそういうのだから、外国人の私はどうすればいいんだろう…外国人の自分には教室に居場所はないんだな〜と感じます。
自分でもネガティブすぎなのはわかってるんですけど、フランス人と留学生といってもフランス語が公用語の北および西アフリカ諸国からの学生ばかりの教室で言われてしまうと、フランス語が外国語である人が教室に存在するということすら無視されているような気になりツライです…。(もちろん排除しようなんて気持ちは先生方にはないのでしょうけれど。)
模範解答なし… à la française ?
加えて、フランスは模範解答を渡さない(そもそも完全版を作らない?)文化があるように思います。(それは文化なのか?)留学生の方でもしこのブログポストを読んでいる方がいたら、ぜひ教えてほしいのですが、そう思うことありませんか?
はたまた、法学では la méthode (方法論)が大事!!と先生方は口を酸っぱくして繰り返しているのですが、模範解答がないのにどうやって学べばいいというのでしょう。法学の分野に限っていうと、各大学での試験問題と答案がまとまったいわゆる過去問集 ( les annales ) というものが発売されていますので、初めの頃はよくそれを参照していました。
しかし、答案を読んでみても、書いている人によってやり方がかなり違う…。答案の提供をしているのが大学の先生や博士課程の学生だったりするので、確かにどれも間違ってはいないのでしょう。では、このたくさんある正解の形式の中からどうやって自分のものにしていくか、ということはだれも教えてくれないのです。
とりあえず、金で解決
かれこれ3年前にもなる留学1年目、途方にくれた私が何をしたかというと、闇雲な努力…ではなく、金に物を言わせて個人家庭教師をお願いしました。大した金額ではなかったのですが、当時なんの収入もなかった私には、清水の舞台から飛び降りるかのような決断に思えました。法学部の修士を修了した学生がアルバイトとして家庭教師をしているというお知らせを目にしたので、連絡を取り、自分のとった授業ノートの添削から、過去問答案から見様見真似で書いた宿題の文法チェックまでお願いしました。
結論から言うと、これは大正解でした。1年目に、こうやっておけば大丈夫というものを自分の中で確立できたのは後々大きな助けになりました。問題が難しくて、悩むことがあっても「とりあえずコレで…」と戻れるものがあるのは精神的にとても楽です。(それでもツライんだけど。)
家庭教師はお金もそこそこかかりますし勇気もいりますが、留学した際にはぜひその可能性も考えてみてください。留学してどうせお金がかかるのだから最大限活用できるように、ちょっとプラスアルファするのは悪いことではないのではないかなと思います。1度目の交換留学の時もこの可能性を考えて予算組めばよかったな、と少し後悔しています。
フィードバックは概ね良好か?
先日、TD(演習)の先生に、フランス語に不安があるのですが、私の答案はどうですか?と聞いてみました。答えは、確かにちょっとしたミスはたまにあるけれど、全体的に文章もしっかりかけています、とのことでした。やったね!
ほかにも、去年の授業で提出した文章に関して、とてもよく書けていますと先生からコメントをもらいました。” Votre expression écrite est quasiment parfaite(あなたの文章表現はほぼ完璧). ” とメールで送られてきてとても嬉しかったのを覚えています。(そう、コロナでオンライン授業に移行してしまったので、メールで送られてくるという一歩間違えばトラウマチックな媒体でのフィードバックでした。)
ここまで何年もわけのわからないなりに勉強を続けてこられたのは、留学1年目の前期の先生の言葉があったからだと思います。その先生は授業で毎回教科書の章を800語 (± 10%)で要約させて、毎回提出させる厳しい先生でした。さらにはフランス語の表現にも厳しく、800語になるべく多くの内容を詰め込むために、学生は正確な語彙の選択を求められていました。
学期の最後になって、提出した課題の採点が返却された時に、なんと、” J’ai apprécié la langue française ! (フランス語よかったですよ!) “とコメントが!先生ありがとう(涙)その後、この言葉に支えられ続けるとは思いもしなかったのですが、結局この時の頑張った!という気持ちが今でも私のもっと頑張ろうという気持ちにつながっているのかもしれません。
結局、教員が言う「きちんとしたフランス語」とはなんなのか?
きちんとしたフランス語を書きなさいと繰り返し言うのは、それができていない学生がそれなりにいるということなのでしょうか。私にはわかりません。日本人だからといって完璧に日本語が書けるわけではないのと同じように、フランス人だからといって素晴らしい文章が書けるわけではないのでしょう。それでも私たちが外国語である専門を勉強すると言うのはなかなか厳しいハードルです。
しかし、フランス語を外国語として学んでいる学習者としての利点もいくつかあると思います。まず、言語を音から入らない分、スペルがそれなりに正確です。また、同音異義語の書き分けができます ( hors と or とかね。)口語表現にあまり引っ張られずに文語で書くことができます。
先日お話しした先生によると、ネイティブが同じ間違いを何回繰り返すよりも、外国語のハードルを超えて、たとえ多少の文法ミスがあってもしっかりした構造の文章を書いている方が良いとのことでした。つまり、あまり気に病む必要はない!(ってこと…?)
フランス人学生の文章力は未だミステリー、でもそれで良い?
私は今まで、本で読んだ文章や実際の法律家が書いたコメンタール(判例の批評)などを参考に勉強してきたので、同級生の書いた答案を読んだことがありません。普通に考えて、あなたの解答読みたいからみせてって言えばいいのでしょうが、なかなか聞き辛いですよね…。今度聞いてみようかな。
でも、結果的にそれでよかったのかなと思います。プロの書いた文章を真似することで、高すぎる目標に心が挫けそうになりながらも今までなんとかやってこれたのだろうと分析しています。
「これは結論ではない」
教室では胸がキュッと痛くなるくらいストレスの元であるフランス語の文章作成ですが、やれることしかやれないし、とりあえず先人の文章を真似して、どんどん書いて、どんどん添削してもらうしかないという自分なりの方針ができた気がします。なにも具体的な勉強方法も書きませんでしたが、最後までお付き合いくださりありがとうございます。
もし、フランス語の勉強(あるいはフランス語での勉強)でツライことがありましたらぜひ一緒にお茶でも飲みながら語り合いたいです。
À bientôt !
こんにちは!ブログ拝見して私よりも何百歩も先にいかれていますが、とても共感しました。私は今年の9月からL3で留学しています。「L3だからビアンなサンテーズ期待している」という全員宛のメッセージを教授から受け取り、同じ気持ちになりました。
ブログに書かれているような個人レッスン考えてみようかなと思います。同じように戦っている仲間がいると思うだけで頑張れそうな気がしてきました。近くに住んでいるなら私も語り合いたいです笑
ブログ更新楽しみにしていますね!!
こんにちは!コメントありがとうございます!初コメ、嬉しい!!
思われているほどそんなに先を進んでいないですよ!頑張ってはいますが、なかなか大変です(汗)
そうそう、留学生がいるとか、今年から新しく入ってきた人がいるなんて全く可能性を考えていないかのように話が進んでいくのはツライですよね!気持ちがポッキリいきそうです…。しかも口頭で言われるのではなく、メッセージというのが破壊力が強い!!私だったら、思わず声に出して「無理っす…」と呟いてしまいそうです。
個人レッスンはオススメです!一番いいのは自分がいるプログラムの先輩を見つけてお願いすることだと思います。その学部特有のノウハウと先生の癖や採点のポイントなども伝授してもらえますし!図書館や掲示板なので募ってみるのもいいかと思います!(くれぐれも男性にはご注意を!気をつけなければならないのは悲しいことですが。)私は図書館のグループワークができる部屋やカフェなどでお願いしていました。お願いする時に、文法だけではなくて適切な文章に書き換えたいとはっきり伝えると相手にもわかりやすいみたいです!
Mmさんはどちらへ留学中ですか?私はフランスの東の方です。もしよかったらDMくださいね〜。