こんにちは。Majestic Studyです。現在フランスの地方大学の法学部3年生に留学しています。今日は、フランスの法学部に留学したい方のために持っておくと便利な本をまとめました。特には学部の1年生から留学する方を対象にしています。是非参考にしてみてください!
※これは、「フランス留学勉強日記」という私が以前書いていたブログにて、3/27/2020 に投稿された記事です。昔の記事をこちらのブログに移設中です。
1. 用語集はずっと役に立つ
授業で新しい法律用語が出てきたらフランス語で覚えていかなければいけません。したがってフランス語のフランス法律用語辞典は必携ですが、フランス語でボヤーっと理解したままフランス語の定義を暗記しようと思ってもなかなか難しいのが現実。そんな時はやはり日本語に頼るのが効率的です。
『フランス法律用語辞典』(三省堂)
私が使っているのは『フランス法律用語辞典』(三省堂)です。これはどの分野の用語でもカバーしていて、さらにはラテン語の言い回しも入っているのでとても使い勝手が良い一冊です。フランス語の用語集に関しては、また別の機会に書ければと思っています。
2. 一年生の難関は憲法学
学部一年生の必修科目で難関なのは憲法学。必修である上に、前期・後期の両方受けなければいけない通年科目で、成績全体に占める割合も高いので、悪い点数をとると全体の成績の足をかなり引っ張ります。留年する学生の特徴はこの科目の成績がが著しく悪い場合が多いです。 さらに、試験や課題は多くの場合 Dissertation という形式の筆記なので、知識がなければ答案を書けない、でも知識があるだけでも答案は書けないというフランス人学生も苦労する授業です。 この授業の勉強に役に立ったのは『フランス憲法入門』(三省堂)と『フランスの政治制度』(東信堂)の2冊です。
『フランス憲法入門』(三省堂)
『フランス憲法入門』(三省堂)は、その名の通りフランスの憲法学入門に最適な一冊です。ざっくりすぎず、詳しすぎずととてもいい分量だと思います(持っていくのにも大変すぎませんし)。授業の勉強ではもちろんフランス語の資料や教科書を読んでいかなければなりませんから、日本語のサポートになる本が分厚すぎては読むのに時間を取られすぎます。さっくり読めて、でも自分の理解の助けにはなるというちょうどいいポイントを見つけられる本だと感じました。
『フランスの政治制度(制度のメカニズム)』(東信堂)
もう一冊オススメしたいのが『フランスの政治制度』(東信堂)です。この本は、フランス革命からの現在に至るまでのフランスの政治制度と憲法の歴史がかなり良くまとめられていると感じます。フランス革命から第三共和制に至るまでに憲法(案を含む)がバンバン出されます。それらがどう言った経緯で公布されたのか、どんな影響があったのかということが端的に、しかしながらとても詳しく書かれています。 ソフトカバーの単行本サイズですから持ち運びにも便利です。一つ難点があるとすれば、縦書きで書かれていることです。フランス語の用語も括弧で入れるのであれば横書きの方が読みやすいのではないかなと思いました…。ですが、内容はとても良いです!
3. 避けては通れないEU法とヨーロッパ法
フランスの法学部に行くのだから、まずはフランス法だ!!と意気込んで渡仏すると陥る落とし穴が EU法(はい、私のことです)。関連は深いものの、フランス法とは別の法体系を丸々学ぶわけですから、覚えなきゃいけないこと、理解しなきゃいけないことは二倍(体感)!!しかも、フランスで高校に行っていた学生とは違い、EUの歴史なんてそんなに詳しく知らないのに、さらに歴史に沿って法律の移り変わりまで勉強しなければなりません。それはもう、大変です。そんなときに役に立つのが『新EU法 基礎篇』(岩波テキストブック)です。
『新EU法 基礎篇』&『新EU法 政策篇』(岩波テキストブック)
個人的にはこの本がEU法概論を学ぶのに最適だと感じました。もちろん主な内容は授業で、そしてフランス語で学ぶわけですから、これを使ってガリガリ勉強する時間はありません。そんな中でもパッと読めて、すっきり重要なポイントを理解できる最強のサポートです。EU法は成績の比重が高いメイン科目ではありません。ですから、できるだけ効率よく短時間で勉強する必要があるので日本語の本が一冊あるとパパッと進められて助けられた一冊です。 もしEU法の分野に進むのであれば、『新EU法 政策篇』(岩波テキストブック)もオススメですが、一年目は『基礎篇』があれば十分でしょう。
最後に付け加えると、EU法とヨーロッパ法は、関連はもちろんあるものの違う二つの法体系です。EU法は欧州連合に関する条約を、ヨーロッパ法はそれに加え欧州評議会に関連する条約を法源としています。今回はEU法の書籍の紹介に限りました。その理由は欧州評議会の特に欧州人権条約と欧州人権裁判所に関しては一年生ではなく二年生のカリキュラムに入っているので、その頃には日本語のサポートはあまり必要ではなくなっていると思い、特にここでは触れません。
4. 歴史の流れがわからないとつまづく
上に書いたように、授業ではフランス革命から現在に至るまでの政治や法律(主に憲法)を学びます。どうしてそのような法律ができたのかを理解するには歴がわからないとどうしても難しい!そんなときに役に立ったのがこちら。
『詳説 世界史研究』(山川出版社)
受験のお供として有名な一冊ですが、留学にもものすごく役に立ちます。フランスの歴史はもちろんのこと、EU法や国際法を学ぶときにも歴史の流れがわかっていないと困ることがあります。特に、私の場合、受験の段階で世界史を選択していなかったので(理系だったの、許して!!)歴史があまり得意ではありませんでした(今でも特に得意ではありませんが)。 そんな私がすごく助けられたのがこの本です。簡潔にまとめてありとても便利です。歴史の流れの因果関係もしっかりわかる良書ですし、用語(人名など)にアルファベット表記があるのが助かる!超助かる!!ありがとう山川出版!!
一年目は、主にフランスの歴史を確認するために使っていましたが、今は国際法の授業にも使っています。もちろんEUの歴史や国連の成り立ちなどを再確認する際にも便利です。
5. おまけ
『物語 フランス革命ーバスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』(中公新書)
上にも書いた通り、歴史わからん…という感じで始めたので、最初の年はこの本が役に立ちました。一週間の休みにさくっと読んでしまったように思います。勉強とは別ですが、軽い読書にいいと思います。
以上が私のオススメするフランスの法学部に留学するときに持っていくべき5冊です。私が持ってきた本はこれらに限りませんが、持ってきたものの中で最も役に立った5冊(+おまけ)を紹介しました。フランス法に関するオススメの書籍がありましたら是非コメント欄で教えてください!